2007年04月27日
 ■  お客様の気持ち、本気で分かりたいと思っている?

 「相手の立場で」。サービス業に限らず、よく耳にする言葉であるが、それはそれだけ、相手の立場を理解することが難しいことを示している。
 ホテルの朝食にお粥を頼むことがある。しかし、お店の人は、このレンゲでお粥を食べたことがあるのだろうか? 上等なレンゲかもしれないが、底が厚く口に入れにくい。上品に食べたい気持ちとは逆に、口を大きく開かなければならない。
 座席数の多いファミリーレストランなどに見られるが、食事を取っているすぐ側、客から見えるワゴンに食べた後の皿やグラス、食べ残しが置いてある店。いちいちお皿を引くたびに洗い場まで運んで片付けるのは大変であろう。非効率でもある。しかし、食べ残しを見たり、食べ残しをまとめたりする音が聞こえた途端、どんな料理も台無しになるとは思わないのだろうか。客の気持ちを理解しているとは思えない。せめて、食べ残しが見えない工夫をしてほしいと思うのだ。
 「お客様の立場になろう」というかけ声だけでは決して「お客様の立場にはなれない」。他の店で自分が客となったときの経験などをヒントに想像力を働かせ、一生懸命考えないとお客様の気持ちは分からない。漠然と仕事をしていては、決して相手の気持ちも立場も理解できない。


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 腰を痛め、整形外科に腰の牽引に通った時期がある。たまたま、そこにOLから転身し、看護師になった教え子が働いていた。彼女は牽引が終わると「先生、終わったよ。起こすからね」と、いつも身体を起こすのを手伝ってくれた。そうしてくれる看護師さんは彼女だけだった。「ありがとう。でも、あなただけよ。身体を起こすのを手伝ってくれるのは」。そう言うと、彼女は照れくさそうに答えた。「実は、母が半年前に先生と同じように牽引に来てたんですけれど、何もしなかったんですね。そしたら、何のためにあなたがいるのって怒られちゃって…。腰を痛めている人が、この狭いベッドで身体を起こすのがどんなに大変かが分からないようでは看護師失格だと。それから私、患者さんにお手伝いすることいっぱいあるんじゃないかと考えるようになったんです。いろいろあるんですよ…」。実の母親であるから遠慮せずに感じたことを教えてくれたのだが、それをそれだけに終わらせず、自分がすべきことを一生懸命に考えた彼女をとても頼もしく思った。自信に満ちた彼女の笑顔。いい看護師さんになったね。夢を追いかけてよかったね。


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投稿者 Fcommu : 2007年04月27日 15:35

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