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浅岡柚美の「磨こう! ヒューマンスキル」 » 顧客が望むサービスと余計なサービス
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顧客が望むサービスと余計なサービス

サービスの品質を当たり前(本質)品質と魅力的(表層)品質に二分するとらえる方がある。当たり前品質とは顧客が支払う金額に対して当然受けられると期待しているサービス品質、魅力的品質とは金額に対して必ずしても当然とは思わないが、あれば望ましい品質のことである。料理店には食事を楽しむために行くのであり、料理の作り方を習いに行くわけではない。しかし、たとえば、かくし味に使われている香辛料や調理のコツを教えてもらったとき、ちょっと得した気分になる。これが魅力的品質である。

あるフランス料理店で友人たちとランチに出かけたときのことである。オードブルはスモークサーモンのサラダ仕立て。給仕人は料理をテーブルに置くとすぐ、にこやかに説明を始めた。サーモンの下の野菜の名前を一つずつ挙げ、ケッパーとゆで卵でミモザ風に飾ったという。次のかぼちゃのポタージュもマグロと野菜のグリエも使われている食材を産地までひとつひとつ丁寧に教えてくれた。

顧客が望むサービスと余計なサービス

やがて、魚料理のお皿が引かれたころから、とてもせきたてられているように感じ始めた。料理がサーブされるとすぐに始まる料理の説明。給仕人に眼をやると、どの給仕人も自分が担当するテーブルの客をじっと見つめている。確かに、給仕人たちはお皿が空になるとすぐにやってきてお皿を片付けてくれていた。しかし、料理の説明をしてくれたり、お皿が引かれたりするたびに会話はさえぎられる。給仕人に凝視され、食事や会話を楽しむ雰囲気が台無しである。

子羊のロースト、ざくろのソルベと続いたコース料理は最後まで調理法、付け合せの野菜、ソースなど詳しく説明が行われた。そう珍しい料理ではなく手軽なランチなのだからひとつずつ説明してくれる必要はないのだが、この店では料理を説明することが優れたサービス、親切だと考えられているのだろうか。

コーヒーが出てきたとき、一人がタバコを吸い始めた。1本目のタバコの火を消すとすぐ、給仕人が灰皿を変えにやって来た。その給仕人はタバコを吸っている友人をずっと見ている。そして、2本目の火を消そうとすると、給仕人はそのタイミングを待っていたかのように私たちのテーブルに歩き始め、灰皿を変えた。私たちのコーヒーカップは空になっているのに。何かおかしい…。

しかし、この料理店だけではない。美容室での過剰な会話もそうである。美容師との会話に合わせることが苦痛なときがある。髪を切ってもらうときぐらい、ぼ~っとしたい、放っておいてもらいたいのだが。当たり前のことだけ、本質的なことだけをしてほしいと思うときもある。