昨年、百貨店や専門店、総合スーパーなどで衣料品を購入するにあたって「望むサービス・あればよいと思うサービス」には何があるかを調査した。
その結果、コーディネイトのアドバイス、欲しい商品を即座に取り寄せるサービス・消費者からバイヤーへの直接的な情報伝達、新商品の入荷やバーゲン情報がタイムリー、個別に通知されるサービス、売場や在庫・価格を消費者が自分で検索できるサービス、他の小売店も含めた購入履歴を照会・閲覧できるシステム、試着しやすさの向上(試着室の数、広さや温度など環境の改善、バーチャル試着、試着室から試着の状況(サイズが合わない)を知らせることができるシステムなど)、簡便なオーダーメイドなどの消費者参画型の品揃え、売場でのクイック決済、宅配、荷物の一時預かり、子ども連れの対応、小売店・カタログ・Webを利用したマルチチャネルでの商品購入、など多数の希望が自由記述で示された。
小売店が提供するサービスの改善点が示されたが、これらには、実際に多くの店舗が提供しているサービスも含まれている。実際にサービスを提供しているにもかかわらず、消費者が「あればよい」と感じるのは、なぜだろうか。
サービス品質には大別すると2つの評価要素があると考えられる。ひとつは「accessible: サービスの利便性、利用のしやすさ」であり、もうひとつは、「hospitable: サービスから得られる心地よさ」である。あるサービスを提供していても、消費者が、そのサービスを利用しづらいと感じたり、心地よさが感じられないでいたりすると、そのサービスは消費者には「あるもの」と認識されないことを、この調査結果は示している。
東京に住んでいたころ、お酒や調味料などの重たいものを購入するときに東急ストア・プレッセというスーパーマーケットの宅配サービスをよく利用した。
このようなサービスを提供しているスーパーマーケットは多いが、プレッセの宅配サービスは、初回は住所・氏名を配送伝票に記入するものの次からは、すでに配送伝票が記入、準備されており、名前を伝えるだけで、「こちらのご住所でお間違えはありませんか?」と伝票を確認するだけなのである。短時間で何の手間もなく、利用できるサービスシステムは、顧客本位である。
さらに、数時間後には商品が届けられる。ビールなどは冷蔵で届けてくれ、配達スタッフは非常に感じがよいのである。accessible と hospitable が伴った優れたサービスであると思う。