Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/main.jp-sedna/web/www/cs2/wp-includes/cache.php on line 99

Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/main.jp-sedna/web/www/cs2/wp-includes/query.php on line 21

Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/main.jp-sedna/web/www/cs2/wp-includes/theme.php on line 576
浅岡柚美の「磨こう! ヒューマンスキル」 » サービスで生きる至上の料理・サービスで死ぬ極上の料理
よりよい人間関係を築くためのヒントサービス改善のためのヒント浅岡柚美プロフィール

サービスで生きる至上の料理・サービスで死ぬ極上の料理

サービスの効果や商品価値は結果とプロセスの両面からもたらされる。レストランで例えれば、料理(結果)と店内の環境・料理の提供の仕方など(プロセス)の両方に満足できたとき、食事の満足度は大幅にアップする。
旅先の京都で日本料理の名店に出向いた。ホテルの中の支店ではあるが、料理、盛付、器は超一流。料理を舌と目で十二分に堪能した。仲居さんの立居振舞や言葉遣いも上品で丁寧であったし、材料や料理法を尋ねればすぐに調理場に確認して説明をしてくれた。でも…なのだ。名店にしては、料理以外は大したことない。そう感じてしまったのだ。

サービスで生きる至上の料理・サービスで死ぬ極上の料理

さらに、最後になって失望した。デザートが運ばれてきたときに、お品書きをもらえないかと頼んだ。一人3万円の料理。とてもおいしかったし珍しいものもあった。何度も行ける店ではないから記念に取っておきたかった。しかし、奥から戻ってきた仲居さんは丁寧に「お品書きはありません」と答えた。

帝国ホテルのメインダイニング、レ・セゾン。ディナーを取り、私たちはスタッフの心地よいサービスに礼を述べて店を出ようとしていた。「みなさまのおかげで、楽しい時間が過ごせました」。するとディレクトール(食堂支配人)が少し申し訳なさそうな顔をして、こう言ったのだ。「それは本当にありがとうございます。うれしゅうございます。ところでお客様、お料理はいかがでございましたか?」。

旅先の日本料理店とレ・セゾンとで料理の比較はできない。料理がすばらしいから名店なのだ。料理がすばらしいのは言うまでもない。しかし、どちらが楽しい時間を過ごせたか? どちらの食事に満足したか? と問われれば即座にレ・セゾンと答える。ホールスタッフが、客の食事の目的を雰囲気や会話から感じ取り、それを意識してサービスにあたっているかどうかの差は歴然である。レ・セゾンのメートルやソムリエたちは、料理の合間に料理やワインの話をしてくれた。一人一人のスタッフが、私たちに楽しんでもらいたい、とびっきりの夜にしてもらいたいという気持ちで接してくれていたに違いない。それが思わず、料理にではなくスタッフへの感謝の言葉になって表れた。

料理がおいしくなければ話にならないが、厳しい修行を何年も積んだ料理人の料理や店の印象をお客の心に刻み込むのはサービスをする人。どんな食材をどんなふうに料理したかを頭に入れて、食事の目的に合わせたもてなし方ができるのが、きっとプロ。だからこそ、私たちは料理への賞賛をこめて、サービススタッフに「ありがとう」と伝え、「また、この店に来よう」という気持ちになる。