私の場合、大学を卒業後、総合商社に就職しました。その当時は、新入社員という事もあり、キャリアアップなんてみじんも考えていませんでした。早くいい人を見つけて、結婚すればいいのだからというのが、私も含めて周囲の女性の一般的な考えの様でした。
ところが、その思惑とは裏腹に何故か、私は、その後もずっと働き続けることになってしまうのです。自己都合で商社を退職後、米国大手の製紙会社を皮切りにブラジル大手商社、米国老舗のリテイラー、米国大手の香料会社に勤務してきました。
これだけ見ると、外資系企業を渡り歩いた華麗な経歴のように思えますよね。しかし実際は外資系といっても日本の中ではLiaison Officeといった小規模の所もあり、入社早々、日本オフィスがクローズされるという事態や日本の会社では考えられない程、あっさり人員を削減していくという様を目の当たりにしてきました。外資系企業は、一時の年収は高いが、その待遇は非常にリスキーでもあり、常に会社側ともある種の緊張関係を維持していく必要性があるという事を身をもって知りました。それに比べて日本の企業は法律や労働組合等によって、従業員を手厚く保護していると感じました。外資系企業では、いつ何時、レイオフなんて当たり前の世界ですから、そんな中で、やむを得ず転職を繰り返せざるを得なかったというところもありました。今考えると、なんてビジョンのない無謀な転職だったのかと思います。先ず、第一に生活を考えて仕事を探す、そして条件的に合うのは外資しかないといった具合で、もう少し「キャリアビジョン」というものに対して知識があったのなら、こんな無雑作な転職は繰り返さなくても済んだのにと思います。
そうはいっても、外資を転々とする内に、キャリアという意識が芽生え始め、キャリアアップについて考える様になりました。只、男女機会均等法が施行されたといえども、まだまだ日本は男性社会、働く以上は同じ土俵で力を発揮したいと思っていても、中々思うように上手くキャリアアップを図ることは叶いませんでした。只、ひたすら、目の前にある仕事をこなしていく。
「自分は本当は何をしたいのか?」「どうなりたいのか?」と、時々ふと考えたりしながらも、結局は無為に時間が流れていくそんな日々が続きました。