株式会社井口一世 代表取締役 井口一世氏 |
■ 第1話 発想の転換
— プレス屋から最先端ものづくり企業へ— 私が大学院生になったわけ
「第1回渋沢栄一ベンチャードリーム賞」奨励賞受賞
IT技術を駆使し、厚板曲げのノウハウを定量化、塑性加工の常識を変えた金型レス生産システムとは
■ 第2話 金型レス生産システムとは
— 金型レス生産システムとは— 誰でも職人になれるシステム作り
■ 第3話 常識を裏切る井口一世
— 企業理念— 環境への貢献
『株式会社井口一世』 並びに井口一世(いぐち いっせい)氏プロフィール
“金型レス”でも精度の高い加工はできる。目指すは、業界のスタンダード。
金型を使わずに板金加工技術で代替すれば、大幅なコストダウンになり、取引先への提案力強化にもなるだろう。埼玉県所沢市に事業所を構える、板金加工業の『株式会社井口一世』、井口一世社長はそこに商機を見出した。設立は2001年。実父が創業した、金属プレス加工会社から設備と取引先7社を引き継ぎ、資本金1000万円、従業員3名でのスタートだった。
高精度の汎用機を使い、ベンディングとパンチを組み合わせた「板金加工」で製品を仕上げるため、金型の投資コストが軽減できる。「金型をもっていても利用しなければ意味がない。金型は捨てるタイミングも難しく、ときにリスクにもなる」という。「不良率は100万分の8程度、金型を使って製造したときと同程度の精度」という。汎用機から生まれる高精度—。ここに独自のノウハウが活かされている。機械の操作も「半日くらい研修すれば誰でも操作できる」まで手順を簡略化した。「機械メーカーよりもデータを保持している」と井口社長は自負する。
こういったデータに裏付けされた加工技術が「設計費を抑えることに頭を悩ませる、メーカーの設計開発担当者」に重宝がられる理由だ。“金型レス”で大幅にコスト下げた分、加工料は通常の5倍から10倍に設定できるという。重要視するのは、データだけではない。加工精度を維持、向上させるためのメインテナンスにも時間とコストをかけ、すべてのメインテナンスに年間約2億円を投じている。
また、業界として曖昧な加工料の標準価格にも切り込み、加工料の見積のデータベースを構築ソフトウェアかしたものを提供。「このソフトウェアを使えば加工にかかる標準価格を出せるので、加工料が安いか高いかを知ることができ、製品の最適設計につながります。我々のソフトウエアが算出した加工料が業界全体のスタンダードになれば嬉しいですね。」
「合理的に金型を作る、新しい製造業の形態づくり」を目指す井口一世。
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